本格的な冬に向かうひと時、気がつくと野の雑草が一面に枯れている。その先に遠く灯りが見えるという句。なんだか人生そのものをうたっているようである。
近くにも灯りはある。しかし、それに心惹かれることはない。あの、遠くに見える灯りこそが自分の求めているものだ、と思いを新たにする。それは、厳しい冬がやってくるからこそ、なのだろうか。
娘が、何のために生きているのだろう、と殊勝なことを言いだした。下の句ではないが、遠い灯りが見えるといいと思う。幾つもあるなら、どの灯りを見据えるか。方向を定めることだろうとアドバイスした。
枯野ゆく最も遠き灯に惹かれ 鷹羽狩行