季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

湯豆腐(ゆどうふ)

湯豆腐はあまり華やかなところで食べるものではない。ましてやひとり薄明かりのなかで食べているとなると、寂しさがひしひしと伝わってくる。いのちのはてのうすあかり。そうそう言えるものではない。

希望もなく、冷えたからだ、のど越しに熱いものが降りていく。冬の季語が生きている。

湯豆腐やいのちのはてのうすあかり 久保田万太郎