季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

初明かり(はつあかり)

除夜の鐘とともに近所の神社にお参りして、農家のおじさんのにわか禰儀さんにお祓いをしてもらって床に就く。目覚めると日は高く、初明かりの新鮮さを味わうこともない。
さて、元旦は友人の誕生日でもあり、これまた例年のことながらこれから呑み会に赴く。
誕生日で思いだすが、母方の兄弟姉妹はいずれも1月2日が誕生日だと聞いた。農家には暇がないので、いつ生まれても1月2日とするのだそうだ。誕生日を祝う習慣もない。それはそのまま我が家にも引き継がれて、子どもの頃、誕生日を祝ったことがない。およそ、記念日というもののない生活だった。
初明り世にある側に目覚めたる 辻直美