季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

日脚伸ぶ(ひあしのぶ)

昨日、障子の妙を書いた。障子と外界の間には縁側がある。縁側を話題にしようと思うが季語ではないから、話題にしにくい。そこで、縁側から逆に句を探したらこの句に出会った。日ごとに昼の時間が伸びて、日差しが暖かい。そういう時、縁側は格別だ。
昨日のエッセイの続きをしよう。障子がそこはかとない外界とのつながりを作っていて、直接ではない。それは障子だけの装置ではなくて、縁側と対になっている。縁側というのも微妙な空間である。外とも内とも明確に言えない場所である。気のおけない客が来れば縁側でお茶を飲んだりする。
日本家屋の特徴を言えば、襖というものもある。間をふすが、壁のようにではない。開けたり締めたりできる。昔の人が、間の感じ方に微妙な味わいをもっていたことがわかる。
縁側といふ佳きところ日脚伸ぶ 清水一莉