季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

落椿(おちつばき)

春の木と書いて椿。日本でつくられた漢字だという。椿の語源は艶葉木(つやばき)など幾つかあるというが、確かに艶のある厚い葉である。昨年、小さな椿の木を買ってきた。秋には台風で大雨が降った。池のようになった水のなかでも枯れなかった。強い木だな、と感じている。
下の句は色の鮮やかさ、動きがあって、写真というより動画を見せられたようだ。「しばらくたって」と時間の間を感じる。襖や障子、縁側といった空間の間とはちがうが、一つの間ではあるだろう。
鯉沈みしばらくたつて落椿 能村研三