季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

薬降る(くすりふる)

薬日 (くすりび) である陰暦5月5日の正午(午の刻)ごろに雨の降ることをいう。その雨水で医薬をつくると特に薬効があるとされた。またこの雨に濡れた薬草は特効があるともいわれた。この時の雨水が竹の節にたまったものを神水として医薬つくりに珍重したとも。
6月の季語に、五月雨とか5月の入ったものが多いが、陰暦のことなので梅雨の時期。5月5日の菖蒲湯や菖蒲を軒に吊るすなど新暦端午の節句で書いたが、こうして陰暦で考えないと意味の分からない場合が多い。
この日に集めた薬草の菖蒲や蓬を袋に詰めて薬玉(くすだま)をつくり軒などに吊り下げた。邪気を払うためと言われている。菖蒲湯も穢れを落とし禊のためのものだった、と考えられる。
薬の日杉のにほひをつけ歩く 斎藤玄