季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

白桃(はくとう)

8月の8日から10日は語呂合わせで白桃の日なのだそうだ。

我が家の庭の桃の木はいっこうに実をつけない。田舎の桃の木もそうだった。木そのものも甘いのか虫がつきやすい。それでも殺菌効果があるのだとか妻に葉を取って来いと頼まれる。

言うまでもなく白桃は甘く、そして果汁が豊富だ。冷やした桃などこの世のものとも思えないほどうまい。日本では縄文時代の前期の遺構からすでに種が出土しているという。中国では不老不死の果物として珍重されたという。そういうところから桃源郷などの言葉も生まれたのだろう。日本でも桃の節句だとか、邪気を払う果物とされている。ところが英語圏では、傷みやすい果物であるところから「若く魅力的な娘」という以外に「ふしだらな娘」という意味をもつという。

一つの白桃夫婦大いに滴らす 岸田稚魚