季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

夾竹桃(きょうちくとう)

枝ぶりが竹に似ていて、花が桃に似ている。名前の由来はそんなところかららしい。毒性があり、燃やしても煙にその成分があるという。枝を箸代わりにして中毒したり、串焼きの串にして死者が出たり、人騒がせな木である。使いかたによっては薬としても使えるとか。
夾竹桃の思い出と言えばフィリピンのマニラ。空港から市内までの道に背の高い夾竹桃が咲いていた。強い日差しを思いだす。排気ガスのなかでもしっかり花をつけていた。
日本に留学生として来ていた若者が帰国するというのでついていった。就職が決まっていないと言ったので、そんなに日本語が上手なら日本語を教えれば、と提案した。彼が言うには、フィリピン人は習わなくても覚える。そうか、と思って記憶に残っている。
夾竹桃には広島の句が多い。
夾竹桃火の如く咲く爆心地 寺田順子