季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

竹伐る(たけきる)

晩春から夏にかけて、筍に栄養をやるために竹は弱る。今の時期になると元気が出て、竹の伐り時なのだという。この話は初めて聞いたが、秋が竹の伐り時だというのは聞いたことがある。

尺八を習っていたことがある。尺八は真竹で、節の数も決まっている。だから、なかなかいい竹は見つからない。ところが同じ竹林に多く見つかるという。

叔父が、竹職人だった。主に籠を作るが、ビニール素材のものが現れて、だんだん時代から取り残されていった。晩年は鯉幟の竿の上につける竹籠をつくって地方紙に載ったりした。考えてみれば、鯉幟の竿の先に籠状のものを載せるのは我が家のほうだけだろう。

竹職人というのは丸い一本の竹をうまくひも状に割いて行く。それが割くというより竹の方が割れてくれるようで見ていて面白かった。

竹トンボなどを作ってくれるのでそばでよく見ていた。

籠が売れなくなると、釣りに使う魚籠や花器などを作った。手の込んだ素晴らしいものだったが、あいにく田舎の方では商売にならなかった。

かぐや姫眠れる竹は伐らでおく 渡辺恭子