季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

竹の花(たけのはな)

竹の季語は何時なのか。竹林は涼し気なので、夏の季語のように思う。だが、落葉するのは春なので、「竹の秋」と表現する。「竹落葉」といった季語もある。竹は地下茎でつながるひとつの生命体。地下茎に栄養を蓄える春に葉を落とす。そして、秋には若竹もしっかりと成長して緑を深くする。だから秋が「竹の春」。
昔、長いこと尺八を習っていた。尺八は真竹で作るのだが、その採取時期は秋から冬にかけて。この頃、竹は水分量を減らして、締まってくるし虫もつきにくい。
さて、竹の花。種類によっても違うが60年から120年くらいの周期で花をつけるという。竹は竹林全体が地下茎でつながる1個の生命体。それが花をつけて子孫を残す。そうして竹林は枯れてしまうという。
実は、子どものころ、真竹の花を見たことがある。実家の近所の竹林。しかし竹林は枯れなかった。はたして竹の花に実がついたのかどうか、調べてはみなかった。
咲いた時期も夏だったのかどうか覚えていない。それでも竹の花は夏の季語になっている。残念ながらいい句がなかった。