鶯(うぐいす)
この時期の鶯はまだ鳴き方が下手だったりする。竹藪のなかで声がするがなかなか見えない。子どもの頃は気づかなかったが、ここ20年ほどは、朝の鶯の声で目覚めたりする。
鶯や人遠ければ窓に恋ふ 飯田蛇笏
薄氷(うすごおり)
春の季語、薄氷は、剃刀のような切れ味の氷である。しかし、そうしたシャープさとともに、春を思わせる氷でもある。
昨日見たテレビで、年々暖冬になりシベリアの川の氷が薄くなってきていると報じていた。25センチの氷では、2000頭もの羊を向こう岸に渡らせることができない。岸にテントを張り、氷が25センチ以上になることを待っている。残念ながら2000頭もの羊のエサが底をついてき、危ないながら川を渡る。川と言っても数百メートルもの川である。
てのひらに草の匂ひの薄氷 鷹羽狩行
雛菊(ひなぎく)
子どもの頃、庭に雛菊が植わっていた。雛菊は花壇の前のほうで、徐々に背丈のある花が植えられていた。だから踏みそうにもなるし、それだけ愛着もあった。
近年は庭に植えることもないし、近隣の庭にも見ない。
売れ残りゐし雛菊の鉢を買ふ 湯川雅
春菊(しゅんぎく)
ほろ苦い春菊。子どもの頃、春菊の天ぷらがお弁当に入っていた。子どもの頃はあの苦さが苦手だった。「お弁当に春菊は嫌だなあ」と母に言ったことがある。そんな注文を付けたことは春菊くらいしかない。母は「ほう、そうか」と言って笑った。
春菊の思い出はそのくらいだが、今でも春菊の香りが苦手である。
春菊を洗へば水も香を放つ 鷹羽狩行
針供養(はりくよう)
今日は針供養の日なのだとか。折れたり曲がったりした針を神社にもっていくが、自分の家で豆腐に刺したりもする。働いてもらった針に休んでもらうために、柔らかいものに刺すとも言われている。
老妻のけふ針供養と言ひしのみ 山口青邨