季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

花八つ手(はなやつで)

枇杷の花も今が盛りだが、八つ手も咲いている。花火が空に散ったような形だと歌った句があった。注目されるような花ではないが、花の少ない時期、蜂にとっては貴重な蜜らしい。
八つ手というから葉は8つに分かれているのかと思うが、7枚から11枚くらい、いろいろである。天狗のうちわとして有名だが、どうしてなのだろう。冬でも青々としているのが昔の人には不思議だったようだ。魔物を感じさせるからという説がある。風に揺れるとおいでおいでをしているように見えるので、玄関先に植えて千客万来を願う風習もある。
いまさかりなる花八ツ手誰も見ず 飯田龍太