季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

春の雪(はるのゆき)

桜が満開の頃、雪が降ったりする。今年も降った。春の雪、淡雪、別れ雪、忘れ雪など、春に降る雪の季語も多い。降るそばから消えていくので気にするような雪ではない。強いて言うなら、季節を感じて芽を出した雑草、穴からはい出した小動物、虫は驚いているだろうな、と季節に裏切られたものたちに想いを寄せる。
下の句、産んだばかりの卵に関する句だが、この感覚は懐かしい。そうだ、卵は温かかった。それから、糞などがついていた。でも、汚いという感じはない。
にわとりの卵あたたか春の雪 小西昭夫