季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

葦牙(あしかび)

葦牙とは葦の若芽のこと。小川の岸に動物の牙のように生えている。それは日差しだけでなく、水や泥も温くなってきたあかし。
子どもの頃、よく川釣りをした。浮きは動くのにいっこうに釣れない。小魚のうろこが川のなかで光る。春先に光るのは立派な鮒ではなくて(鮒のうろこの光は強い)、ヤナギと呼んでいた諸子魚(もろこ)。
小鱗の見えては失せぬ芦の角 西山泊雲