季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

銀杏(ぎんなん)

イチョウの実のこと。杏子の実に似ていることから銀杏と呼ばれるようになったとか。イチョウの木のなかでも実のなる木は少ないものの、道に銀杏が落ちていると独特のにおいがして、踏まないようによけて歩く。都心にもあり、少し迷惑に感じる。誰か拾う人もいるのだろうか。

私の田舎ではお寺に数人でないと抱えられない大樹のイチョウがあり、大量の実がなる。この季節になると銀杏を拾いに行く。手がかせるので箸で拾ったものだ。持ち帰った銀杏は一時土に埋める。11月ごろ掘り起こして水で洗い、乾しておく。

手はかかるものの煎って食べるとうまい。味もいいが、煎って皮をむいた銀杏の、透き通るような緑も美しい。

多く食べると中毒になるという。

ぎんなんをむいてひすいをたなごころ 森澄雄