季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

雑煮(ぞうに)

三が日毎朝神仏に供えて、それをわかち食べたのが雑煮だと言われている。地域や家によってさまざまな雑煮があり、一人一人、記憶にある雑煮のイメージも違うのだろう。

子どもの頃、我が家の方では、三が日は男が早く起きて作る。父と子どもたち。火を起こして餅を焼く。母も起きてこそ来ないが、寝床で心配しているのだろう。雑煮の材料は昨夜のうちに母が用意している。初日は緊張して早起きするが、3日目になると母が起きてきて準備をする。父も母もすでに無く、私たち兄弟も亡くなった父や母の年齢になりつつある。

子ら遠くふたりに雑煮余りけり 吉沢卯一