小豆粥(あずきがゆ)
正月気分も過ぎるとかゆを食べる。7日は七草粥を食べる。15日に食べるのが小豆粥。これらに餅を入れて作るのが粥柱。小豆粥を食べるとその年の邪気を祓い疫病を祓うと言われている。
3が日にごちそうを食べて、胃が弱っているだろうから、という配慮だろうか。
15日は望の日でもあって、望粥ともいわれる。入れる小豆だが、その赤さのせいで、呪術的な意味がある。赤飯などとともに稲作文化の影響とも言われている。
何はさて妻に供ふる小豆粥 佐藤岳灯
獅子舞(ししまい)
子どもの頃、リヤカーにいろいろなもの(楽器など)を積んで獅子舞の一団がやってきたものだ。正月ではなく暮れにきたこともあったと思う。庭先でひとしきり獅子舞をして、人の頭を噛む。ちいさい頃、それがほんとうに怖かった。幸い私は次男坊なので、強制されることはなかったが、兄はやらされていた。泣きもしなかったが、私だったら泣くだろうし夢にも見たかも知れない。そのくせ、何となく心浮き立ち、近所を廻るのについて行ったりもした。
この獅子舞、起源がよく分からないらしい。中国にも風習があるし、獅子はライオンのことで、インドから来たものらしい。日本には室町時代に伝わっている。
頭を噛むのは厄除けのほか無病息災、学業向上などご利益があるとされてきた。
獅子舞にぞろぞろついて村の子等 竹田 佳女
雑煮(ぞうに)
三が日毎朝神仏に供えて、それをわかち食べたのが雑煮だと言われている。地域や家によってさまざまな雑煮があり、一人一人、記憶にある雑煮のイメージも違うのだろう。
子どもの頃、我が家の方では、三が日は男が早く起きて作る。父と子どもたち。火を起こして餅を焼く。母も起きてこそ来ないが、寝床で心配しているのだろう。雑煮の材料は昨夜のうちに母が用意している。初日は緊張して早起きするが、3日目になると母が起きてきて準備をする。父も母もすでに無く、私たち兄弟も亡くなった父や母の年齢になりつつある。
子ら遠くふたりに雑煮余りけり 吉沢卯一